2016年10月3日

よくある質問

Q.いつ手術をするべきですか?どのように決めるのですか?
A.本当に日常生活が不便で、もう動けないという方で、もう手術してほしいという気持ちで来られた方はすぐに手術を検討しますが、最初はまず消炎鎮痛剤を飲んでいただいたりするような薬物療法、負担のかからない筋力トレーニングである保存療法をしていただきます。
患者さんの日常生活でどれだけ不便を感じているのか、どれだけ手術を希望されているのか、あるいは手術をしたくないのか、家庭環境、家事や仕事等の社会環境など、いろんな要素がありますから、患者さんとよくお話ししながらその患者さんに合った治療を選択していきます。選択肢はこちらから提示して、患者さんが希望する治療を検討します。
Q.人工関節の手術に年齢制限はありますか?
A.はっきりした年齢制限は設けておりません。患者さんは20代~90代までと幅広い年齢層です。年齢に関係なく、股関節痛により、日常生活動作に支障を生じ、活動レベルや生活の質が下がり、患者さんが手術のご希望があれば、手術を行っております。患者さんの意思に沿うように治療を行っています。
Q.人工関節手術の費用はどのくらいかかりますか?保険はきくのでしょうか?
A.人工関節の手術は保険適用されます。また、高額療養費制度も使えるため、実際に患者さんがご負担される金額を抑えることが可能です。
手術費用のシミュレーションはこちらから
手術の内容が決まれば事前に地域医療連携室にて概算費用をご案内できますので、おたずねください。
Q.人工関節の寿命(耐用年数)はどのくらいですか?
A.ひと昔前は人工関節の耐用年数は15年といわれていました。人生で1回の手術で終えたいと思うなら、60歳位からでないとお勧めしないという時代でした。
今では、人工股関節の進歩の最も着目すべき点である、低摩耗性のポリエチレンが開発されたことにより、95%の方が20年間、問題なく過ごされているという調査報告があります。この調査は20年前に作られた人工股関節を調査したものですので、現在のより進歩した人工股関節ではさらに耐用年数が延びていると期待されます。
人工関節が可動する摺動面(しゅうどうめん)の受け皿となっているポリエチレンが摩耗することにより、摩耗粉(まもうふん)を出すと、骨を溶かす破骨細胞(はこつさいぼう)を活性化させます。それが人工股関節の周囲の骨を溶かすことで人工股関節が弛み、入れ替え手術が必要になってしまうのですが、近年の低摩耗性のポリエチレンにより、その可能性が大幅に低減されました。
Q.左右の脚の長さは手術で揃えられますか?
A.人工股関節手術なら、3㎝程度までなら補正が可能です。
脚長差がある場合は、変形が強く脚の短い側から手術をします。それにより、脚の長さをどこまで伸ばすかを決めることができます。人工関節の設置位置やの骨を削る量などを調整し、無理のない範囲で伸ばしていきます。また、殿筋内脱臼(大腿骨頭が上方にひどく脱臼している場合)では5~7㎝くらい脚を引き下げることになりますが、このような場合は、大腿骨の骨切り術を併用して、神経(特に坐骨神経)や血管に負担をかけないように行います。
昔は靴の底を高くする装具しか方法がありませんでしたが、人工関節が登場したことにより、脚長差を補正姿勢正しくバランスよくきれいに歩くことができるようになりました。それは、われわれ治療を行う側にとってもうれしいことです。
Q.人工股関節の手術時間はどのくらいですか?
A.変形の度合いにもよりますが、いま、当院では片側なら50分から1時間15分、両側ならその倍です。麻酔をかけてから麻酔が醒めるまでのトータル時間では3時間位でしょうか。それでも、なるべく短時間で出血量を少なくする工夫をしています。
Q.人工股関節の手術後、何か活動の制限はありますか?
A.日常生活の動作については特に制限はありません。今までできていたことはもちろん、痛みのためにできなかったことについても、どんどん挑戦して欲しいと思いますし、それを可能にするために、手術でも様々な工夫をしています。
ただし、注意点もいくつかあります。「なるべく転倒しないようにすること」、「感染予防のため、風邪をこじらせないことや、虫歯などは早めに治療すること」です。転倒で怖いのは脱臼ではなく骨折です。人工関節の周囲骨折も年々多くなっています。そうなると再び手術とリハビリテーションを行わなければならないので、注意が必要です。
Q.どのようなリハビリをするのですか?またリハビリの期間はどのくらいですか?
A.患者さんの手術前の活動レベル、股関節の状態によって進め方は変わってきます。もちろん、手術後はみなさん傷口の痛みがありますし、関節も硬かったり、歩き方もぎこちなくなったりしています。まずは、疼痛(痛み)コントロールと股関節周囲の筋肉トレーニング、関節の可動域訓練をした上で、はじめは平行棒を使ったりしながら歩き方の指導を行い、徐々に歩容を良くしていきます。リハビリすることによって歩くことに自信を持ってもらい、退院後に日常生活やスポーツ、いままでできていたことを特に制限なくしていただくようにします。
リハビリの期間は、筋力のある方なら2週間ぐらいですが、筋力の弱っていた方や両側手術した方は筋力が戻るまでの期間、じっくりとリハビリを行っていただきます。自信を持って日常生活に戻っていただきたいので、焦って早く退院を促すことはありません。
また、目標を達成するためには患者さんの意欲、頑張る気持ちもとても大切です。このために当院ではリハビリテーションの質はもちろん、患者さんがストレスなく、意欲的にリハビリテーションに取り組めるよう、サポートしていきます。